私の好きな落語 【芝浜】
今回は私が好きな落語、『芝浜』を紹介したいと思います。
【あらすじ】
主人公は酒好きの魚屋の勝五郎。
勝は腕はいいが、怠け癖があって早起きして河岸に行くことを何日もサボり続けていた。
見かねた女房が勝を叩き起こし、河岸に行かせた。
だが、女房が間違えていつも起きる時間より早く起こしたため、勝が河岸についた時はまだ誰もいなかった。
仕方なく、問屋が開くまで浜で煙草を吸って時間つぶしをしていた勝。
すると、その浜で見つけたくたびれた皮財布を通して物語が動き出す。
【背景】
芝浜は古典落語の名目の一つ。
落語の中でも代表される人情噺。
噺の舞台が大晦日なので、実際に大晦日の寄席で披露されることが多い。
数多くの名人が芝浜を演じてきたが、私は柳家小三治師匠の芝浜が一番好きだ。
50分以上ある小三治師匠の芝浜を、これまでに冗談抜きで100回以上聴いてきた。
【おすすめポイント】
小三治師匠の織り成す世界観
一演目50分もあるのに、あっという間に過ぎてしまう。
小三治師匠は噺が上手いという次元を通り越して、声で世界観をつくりだしている。
聴いているうちに小三治師匠の世界観に入るから、世界観を味わいたいと思うから100回以上聞いても、また聞きたくなってしまうのであろう。
圧巻の落ち
今まで少ないながら落語を聴き、そして漫才、コントを人並みに観てきたが、こんな見事な落ちは小三治師匠の芝浜をもって他にはなかった。
この落ちを聴くために50分を費やしても損はない。
自然と涙が出る
決して「泣かせよう」と演じているわけではないのに、毎回聴くたびに胸が熱くなって涙が出てしまう。
もちろん、この記事を書くために直前にも聴いたが、涙が出てきた。
どんな話の流れで、どこで落ちが来るのか、さらにお客さんがどんな反応をするのかも全部頭に入っているにも関わらずである。
だまされたと思ってぜひ一度聴いてみてほしい。