ブックレビュー 【勝ちすぎた監督 駒大苫小牧幻の三連覇】
今回は大好きな野球、高校野球の監督さんについて書かれた『勝ちすぎた監督 駒大苫小牧幻の三連覇』についてブックレビューします。
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【あらすじ】
2005年、北の台地に初めて甲子園の優勝旗を持って来た学校が駒大苫小牧高校である。
そして、翌年の2006年の夏の甲子園も優勝し、連覇。
2007年の夏の甲子園では、惜しくも早稲田実業に決勝で負けたが、準優勝。
決勝戦は、田中将大と斎藤佑樹の引き分け再試合の2試合に渡る熱投で記憶に残っている方も多いのではないだろうか。
弱小高校だった駒大苫小牧に1998年に就任し、鍛え上げて甲子園で優勝するまでに導いたのは香田誉士史監督である。
彼がこの本の主人公である。
本著では、駒大苫小牧がいかにして強くなったか、その陰での香田監督の苦悩、駒大苫小牧を去った理由が書き記されている。
【背景】
駒大苫小牧高校が甲子園を連覇した時、香田監督の姿が私の中で強烈に印象に残っていた。
しかし、駒大苫小牧を去ってから、香田監督を甲子園で見ることがなくなった。
これほどの実績を築いた監督ならば駒大苫小牧を辞めても、多くの強豪校から引く手数多のはずである。
「49歳とまだまだ現役なはずの香田監督が甲子園に再び現れないのはおかしい」と私はずっと思っていた。
だが、そこに至る理由が香田監督にはあった。
記者嫌いな香田監督のことをスポーツ記者として張り付いていた中村氏が、香田監督、当時の選手たち、ライバルチームの監督や選手にもインタビューをして、当時の駒大苫小牧を振り返っている。
本著を読み進めるうちに、私の中の疑問が解かれていった。
【おすすめポイント】
香田監督の熱い指導
雪の多い北海道では、冬の間はグランド練習が制限される。
そのため、雪国は甲子園で優勝することは無理と長年言われてきた。
しかし、そんな雪をも溶かしてしまうくらいの熱が香田監督にはあった。
不器用ながらも全力で選手とぶつかる香田監督。
はじめはその厳しい指導に引いてしまった部員たち、香田監督自身も駒沢大学を出たてで、高校生とどう向き合ったらいいか暗中模索だったようだ。
高校生にとって理不尽と思える指導もあった。
監督と選手がぶつかりながら、少しずつチームが形になっていたった。
人付き合いも不器用
本音と建前を使い分けられない香田監督は、学校や支援会と揉めることがあったようだ。
特に、駒大苫小牧が強くなるうちに、周りの要求が高くなる。
はじめは部員だけを見ればよかったのに、いつの間にか周りにも気をつかう必要が出てきた。
タイトルの通り「勝ちすぎた」のである。
どこの野球監督も同じような問題と向き合っているのかなと思わされた。
やっぱり不器用だけど魅力的
最後に、私の好きなエピソードを一つ紹介したい。
毎年年末になるとOB会を開いている香田監督。
酔いが回っていい頃になると、突如香田監督はパンツ一枚になって叫ぶ。
「殴りたいヤツ、出てこい。今まで殴ったぶん、俺を殴れ!」
OBたちに自分から殴られにいくそうだ。
OB達はビンタしたり、ローキックする人もいて、結構本気で殴りに行く💦
そんな風に不器用でも全力で向き合わないと気が済まない香田監督。
人間臭くて好きだなぁ。
本の最後では香田監督の現在について綴られている。
香田監督、またいつか甲子園で見られる日を楽しみにしています。